コロナの春に鰯を食べる

春鰯|魔を封じる魚を空に見て

春鰯そういえば最近、節分の鰯も蔑ろにしていたな。弱い魚と書きながらも、魔を封じるというこの魚。かつて鰯があふれていた時代には、「今晩も鰯か」などと言って毛嫌いしたものだが、このところどんどん値を釣り上げている。漁獲量が減ったこともあるが、流通網の発達で、新鮮なやつを食せるようになって人気がアップしたところも大きく、東京人であっても、刺身の旨さを堪能できる。
その鰯の旬は秋と言われて季語にもなっているが、この魚のありがたいところは、何時でも美味い事。それは、日本近海に住む鰯の種類の多さと、回遊性によるものであり、もちろん春の鰯も絶品。それを季語では「春鰯」とし、晩春のこの時期のそれは、主に日本海沿岸のマイワシとなる。丁度産卵期にあたる。

ただ残念なことは、緊急事態宣言で飲みに行くのもままならなくなった事。仕方ないから、スーパーで買った鰯を冷凍庫に放り込み、足がはやいからと、連休の初日に取り出して焼いてみる。
男の料理で、あまり得意でもないから、身が崩れて散々。仕方ないから、今晩はこれを肴にネットサーフィン。ツイッターで見つけたのは、古里福子氏

春鰯買って見てゐる空の雲

空と春鰯の間に立つ自分。日常に追われる姿が連想されるところが面白い。
鰯を食いつないだ実りの秋に、きっと壮大な鰯雲が回遊していることだろう。(泰)


春鰯と俳句季語(春の海)|末成歳時記
穏やかなイメージの春の海。与謝蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」はあまりにも有名。例年ならば、東京湾でも潮干狩客で賑わうところだが…

春鰯と俳句句碑探訪|まりを投げたき
上野公園に正岡子規の句碑がある。「春風やまりを投げたき草の原」。春風の中で、子供のように思いっきり走り回ってみたいが、今年は花見にも行けなんだ。

春鰯と俳句立羽不角|俳人のシニザマ
「たちばふかく」という、何ともおかしな名前を引っ提げて、貧困から法眼にまでのぼり詰めた、出世街道を突っ走った稀なるひと。