本門寺の蝶|東京を彩る季語

茅舎の生きた空に春を知る

蝶々にねむる日蓮大菩薩 茅舎

池上本門寺の蝶川端茅舎が、「茅舎浄土」と呼ばれる句風を確立したのは、池上本門寺の近くで生きたからに違いない。日蓮宗の大本山である池上本門寺は、日蓮聖人の没した場所でもある。

病にあった日蓮は、湯治に向かう途中で有力檀越の池上宗仲の館に立ち寄る。その背後の山の御堂を長栄山本門寺と命名したまま、 弘安5年(1282年)10月13日、日蓮は61歳で入滅。
その後寄進された寺領は広範囲に及び、多くの参拝客を、立ち並ぶ伽藍が出迎えている。中でも、祖師堂奥を下った林の中に建つ大坊本行寺横の宝塔は御荼毘所であり、遺灰が奉安されている。池上本門寺の蝶

なお、毎年4月第1日曜日には、釈迦の生誕を祝う「花まつり」が開催され、桜にはじまる多くの花々で彩られる。パレードもある賑やかなものだから、日蓮大菩薩も眠ってなどいられないだろう。紋白蝶などの蝶々も、富士まで見渡せる空に乱舞する。

【写真上】日蓮を祀る祖師堂。高さは27mあり、大堂とも呼ばれる。本殿は、この祖師堂の100mほど奥にある釈迦如来を祀ったものであるが、そこまで足を延ばす参拝客は少ない。

【写真下】宝塔は多宝塔と呼ばれ、大坊坂の途中にある。ここは日蓮が荼毘に付された場所であるが、本殿奥に、日蓮聖人御廟所もある。ただ御真骨堂は、空襲で失われたという。

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