四季の幻想

俳句道|俳人は言霊を行きわたらせる任を負う

日本人が、四季を感じて生きているというのは幻想である。日本人は、四季という枠組みをつくり、その中で物事を見ているのである。
それを主導するのが、和歌や、そこから派生した俳句である。俳人は、様々な事物を季節ごとに分類し、そこに世界を結び付ける。そうして、移ろいと転生の中に自らを置き、宇宙と一体となろうとするものである。

俳人にとって四季とは、自然界の現象ではなく、神の囁きのようなもの。その四季感に導かれる日本人は、言霊の中に生きている。(陰)

追記:明治5年の改暦にあたっては、旧来の季節感を新暦に引き継いでしまった。そのために多くの矛盾を抱え込み、今の歳時記は「四季」の枠組みを拡大して、新春を含めて五季の詞で対応している。
けれども俳人は、その矛盾を許容してきた。それは、「俳句道」という哲学に沿ったものだからである。

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