千住を過る春|東京を彩る季語

千住から始まる奥の細道

行春や鳥啼魚の目は泪 芭蕉

奥の細道と俳句元禄2年3月27日(1689年5月16日)に、見送り人とともに隅田川を船で上ってきた松尾芭蕉は千住に下り、河合曾良とともに日光街道(奥州街道)を辿って「奥の細道」の旅を始めた。この句(*詳細)は、千住で矢立の初として詠んだ句である。
その、芭蕉が降り立った場所は、千住大橋の辺りであると言われ、大橋の北詰には「奥の細道矢立初めの地」があり、「矢立初めの碑」が建っている。また、道の反対側の「千住宿奥の細道プチテラス」には芭蕉像もある。
千住大橋下の隅田川テラスには、奥の細道の壁画や千住大橋の案内板。大橋南側の素盞雄神社境内には、1820年に建立された掲句の句碑も。

奥の細道と俳句千住大橋は、1594年には既に架橋されていたとされ、もちろん芭蕉の時代にも存在していた。現在では国道4号線が通り、ひっきりなしに車が行き交っており、橋を徒歩で渡る人は少ない。
橋の上に立って、芭蕉が見たであろう鳥を探してみたが、時間帯が悪いのか季節の問題なのか、数十分間のうちに現れたのは、雀数羽。これでは「雀の涙」である。もう少し早い季節ならば、都鳥の群飛も見ることができただろう。

芭蕉が奥の細道の旅に出たことを記念して、5月16日は「旅の日」になっている。

【写真上】中央卸売市場足立市場前「千住宿奥の細道プチテラス」にある芭蕉像。

【写真下】千住大橋下には隅田川テラスがあり、歴史を勉強しながら休憩できる場所となっている。


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